2012/12/21

コぺル君と

好きだったけど、近年読んでいなかった作家の本が、飲んでいる時に話に出て

あぁ、ずいぶんと読んでない間に、何冊も出ていたんだ、と、びっくりした

あの時は、好きな作家たちの新刊がいつ出るんだろうと恋焦がれるように首を長くして待っていたのに
いつのまにか、待っている間に、他のことに気を取られて、高熱もすっかり引いてしまっていたようだ

学生の時までは、よく読んでいた本も
あれよあれよという間に、全くといっていいほど遠のいていた


そんなわけで、

『僕は、そして僕たちはどう生きるか(梨木香歩著)』 を読んだ

××××××

すごくザワザワする内容だった
内容が衝撃的だった、というわけではないのだが

飲んでいた時に話していた内容とか、今の社会風潮もあいまって、どうもザワザワが収まらず

そして、その本を出している出版社の関係もあって
ちょっと気になることがあって、そのことについて読み終わってから調べてみると、簡単にネットでヒットした

やっぱり思った通りで、心のザワザワが少し大きくなった

作中で、問題として話題に上がった本があるのだが、もちろんタイトルは変えてあるのだが

それが、どうやら、
2か月前にたまたま図書館で見つけて、
すっかりハマって1週間くらいで10冊ほど読んだ本(よりみちパン!セ)のシリーズから出ている、1冊のようだ

こないだ読んでいたのは、自分が興味がある著者のだけピックアップして読んでいたのと
もともと、小説が好きで、エッセイや新書の類はちょっと苦手なのもあって、
それからは読んでいなかったのだが

気になったので、
つづけてネットで、図書館の蔵書検索をして、その問題の本とやらが置いてあるか調べると
3つある市の図書館には、置いていなかった
もしかした、ほとんどの図書館から、その本だけが、もうないのかもしれない

もちろん、問題になっているのに置いてあったら置いてあるで、問題であるとも思うけど
・・・それを問題と考えること自体を、問題視する人たちもいるよう

前もって知識がある分、完全に偏った目で見てしまうこと前提で、読んでみたくもあった

×××××

そもそも、梨木さんが本文に触れていた本が、その問題になっている本のことだったのかは、実際わからないけれども、
『よりみちパン!セ』シリーズのことを新聞で推薦されていたこともあったそうなので、
その中の1冊だけがそうなってしまったことにきっと心痛めているだろうなとも思った

×××××

『僕は、そして僕たちはどう生きるか(梨木香歩著)』 を読んでから
関連本として、
『君たちはどう生きるのか(吉野源三郎著)』 を読んだ



そして、何十冊も並ぶ『よりみちパン!セ』の棚を見ていると
梨木さんの本に、命の授業の話がちょっと出てきていたこともあって
『いのちの食べかた(森達也著)』というタイトルが気になったので、それも読んでみることにした


×××××

その三冊とも、本当にとても良い本だった

梨木さんの本は、2007~2009年に連載していたもの
吉野さんの本は、1935年に出されたもの
(時代背景として1931年に満州事変が起き、1937年に盧溝橋事件が起きている)
森さんの本は、2004年に出されたもの

なのに、今読むと、まさに、心がより一層敏感になっている内容だった

吉野さんの本にいたっては、あの時代背景下で出された本とは、にわか信じられないくらい

その3冊とも、実はヤングアダルト文庫ないしは児童書なのだ
けど、これ、本当に大人が読んだらいいと思うけどな

この本たちを読んで、何を思い、考えるか
人それぞれ違うのだろうけど、今、読んだらいいのに
考え続けて、そして、知ることから、目をそらさないこと、と本は訴えていた気がする

梨木さんが、吉野さんの本をベースに書かれているから
上記二つは、そもそも共通していて当然なのだが
(登場するのが、コぺル君とおじさん、というのも共通している)

最後に読んだ『いのちの食べかた』は、食肉に関する知識も入れておこうとおもって、たまたま手に取ったのに

その内容までもが、かなり共通していることにちょっと驚いた

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 再度言っておくが、
よりみちパン!セは、内容も、取り上げ方も、やっぱり面白いと、私は思う
私が読んだ本は、著者の個人的意見や皮肉を、ひっくるめて面白かったし
世界や人に対する優しさも、伝わってくる内容が多かった
大人が読むと、より楽しめる気もする

ただ、その問題の1冊については読んでないことと、そして、その著者に対する知識もないので(ネットの受け売りの知識は、入ったが・・・)何とも言えないのが残念である

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群れが大きく激しく動く
その一瞬前にも
自分を保っているために

(『僕は、そして僕たちはどう生きるか』冒頭より抜粋 )

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この本、教えてくれてありがとう

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