2015/09/16

それでも僕は帰る "The Return to Homs"

※まったく政治的なことは触れたくないし、単に映画の感想と個人的に思ったこと

2~3ヶ月くらいテレビを見ていなかったのだけど、
久しぶりに見ていたら、
やっと地上波のニュースでも難民問題を割ととりあげられるようになったのか、と思ったら
問題が別の意味でかなり進んでいた

6月あたりから、この映画をずっと見たかったのだけど、
外に出る時間もなくて、終わってしまったかな~と思っていたら、
まだ上映していたので、搬入の荷物発送出来たので、展示の前日に観に行くことができた


2011年、日本が大震災にみまわれたほぼ同時期に、チュニジアを皮切りに広まったアラブの春
その時、シリアの若者も、二代に渡る独裁のアサド政権の圧政に反旗を翻すべく立ち上がりつつあった。
アサドに楯突くと、血の海になると恐れをなす年配者たちをよそに、はじめは平和的な訴えをしていた。非暴力だった集会は、政府軍の圧倒的な武力と非情な暴力により多くの市民が虐殺される結果になる。
刻一刻と、拡大する戦火にホムスの街は壊滅状態になる。
報道規制がかかっているため、海外に情報が出ることもなく、漏れ聞こえるわずかな情報から戦争状態にあることが世界に伝わり、NATOや国連の視察が入ることとなる。
そんな状態なのが、2011年から2013年にかけて命がけで撮られたこのドキュメンタリーだった。

そして、現在、そこにイスラム国(ISIL)が加わり、2014年から反政府軍、政府軍、ISIL、アルカーイダ、クルド人、そして、宗教間、宗派間、民族間による燦々たる戦場と化しているらしい。
NATOや国連は、はじめは対アサド政権だったのだか、ISILの台頭により対ISILを掲げるアサド政権を支持せざるをえず、戦況は混乱をきたしている
 
2011年から続くこのシリア騒乱による死者は、わかっている内で22万人越え
難民として国外へ逃れた数が、400万人を超えたという


サッカーのユース代表で当時19歳のバセットと、その友人の当時24歳の市民カメラマンのオサマを主軸に映像は進んでいくのだが
平和的に民主化を望んでいた彼らの想い、希望、行動、感情、表情、そしてそれぞれの考えが、翻弄され変化していくのが、まざまざと映し出されていた

 

ちょっと話が戻るのだけど

夏にドイツを旅行していた時に、カレンダーを見たら、8月15日が祝日になっていた。
あれ?終戦記念日かなと思ったのだけど、良く考えればこの日は日本の終戦で、ドイツの終戦は少し早い5月8日だった
単に、終戦とは関係のないキリスト教の祝日だった

今年は戦後70年、あと物議をかもしているあの法案で、きっと色んな所で沢山の特番が組まれていたのだろうと思う

過去の戦争は、映画や当時の映像や話など、それだけでも本当に怖くて、子供の時にトラウマになった
今でも、恐怖から、知ることに少し抵抗さえある
もしかしたら
生れる前の戦争だからとか、近代兵器が使われる前の戦争だからとか、
過去のことだと割り切ってしまえば、積極的に知ることができるのかもしれない

でも、悲惨だったと過去形で語られるはずの惨状は、
今この現時点で、中東で、アフリカで、アジアで、ウクライナで、行われていて
全然、過去じゃない
70年前の映像や特集を見ると、2015年の現実とダブってしまう

今、この瞬間に
砲弾に逃げまどい、飢えや非常な暴力により倒れ
恐怖におびえる人たちがいて
もちろん危険で途方もない経路で国外に逃げてくるたくさんの人たちがいて
その陰で、何十倍もの難民として逃げることもできない人たちがいて
自分や家族や自由を守るために選択肢もなく武器をとる人がいて
貧困や私怨から武装グループに志願せざるを得ない少年がいて

多くの場合が70年前の白兵戦と変わらなく、樽型爆弾の様な旧型としかいえない兵器も多用されている
その上、近代兵器や化学兵器も当然のように使われている
過去の映像や沖縄戦などの話の悲惨さと、何一つ変わっていない

戦争は日本にとっては語り継ぐべき過去の出来事かもしれない、そして、未来に起こるかもしれないと叫んでいる人たちも今はたくさんいるけれど
この時点で過去でも未来でもなく、世界では、今この瞬間の話だということに気付くことが何よりの恐怖な気がした

戦争は憎むべきもので、もしも根絶できるならば、それに越したことはないし
自国の恒久的な平和を望む気持ちは誰の中にでもあると思う

だけど地球人は、同じ地球という宇宙船に乗っているクルーで、
何一つ変わらないはずの人間なのに、
武器を持ち他人の命を奪うことに躊躇しなくなる現実や、
同じ重さのはずの命が尊厳もなく踏みつけられている現実は、おかしいと思う
何かすることはできないのかと考えたが
無力な自分は、まずは知ることだと思った

日本はあまり海外のニュースを報道しない
もちろん地続きの欧州に比べたら、危機感があまりないのかもしれないし
単一民族というのもあって、少し遠く感じるのかもしれない

どうか、知るだけでも知ってくださいと、シリアの人がこのドキュメンタリーを薦めていた

カナダに留学に来ていたシリア人の男の子に、戦争は終わったの?と聞いていたブラジリアンの男の子
自分の立っている場所からなんて遠いのだろうと、悲しくなった。


 
××××××

solo exhibition
by FUKUCHIAYAKO
 in Saga
 
ふくちあやこ展(佐賀)のコクチ
↓↓




title: [ Hyena , from Noah ]
size: 9×2.5×H5.5㎝


ふくちあやこ展

2015年9月17日(木)~9月27日(日)
10:30~19:00

在廊日 9月17日(午後から)、18日


あづま堂

〒840-0813 佐賀県佐賀市唐人二丁目4-6
TEL0952-22-7851
アクセスJR長崎本線佐賀駅降車、徒歩約5分


FUKUCHIAYAKO
 solo exhibition

September 17 ~ 27 , 2015
10:30am ~ 7:00pm

ADUMA DOU, Saga

in Kyusyu

 
 

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